西宮市原爆被害者の会と交流
兵庫県西宮市の「西宮市原爆被害者の会」(水野喬司会長)の平成27年定期総会が5月24日に西宮市勤労会館でありました。私たちNET-GTASの翻訳事業で今年度上期の翻訳対象になっている被爆者の1人、久保ミツエさん(86歳)が病を押して出席されると聞き、サポーター会議のメンバー4人がお話を伺いに出向きました。
総会に同席させていただいたのは、中国語翻訳の張芳、韓国語翻訳の李東炫(いずれも久保さんの証言ビデオ担当)、そして大西綾と阿比留。事務局職員の榊原恵美子さんが引率してくれました。
総会は昨年度の事業報告・決算や平成27年度事業計画・予算案の承認、役員改選など。そのあと映画「アオギリにたくして」を鑑賞、懇親会へ、という流れでした。被害者の会事務局の方々が、この間に、久保さんと私たちの対話の場を設定してくださいました。
私たちが総会にお邪魔したのは、久保さんの証言を翻訳している担当者が直接、ご本人からお話が聴けるという期待、また、病身の久保さんを少しでも元気づけられたらという思いからでした。さらに映画という映像媒体から当時の被爆の実態にさらに近づける、という喜びもありました。
久保さんとの交流の時間はあまり長くはありませんでしたが、久保さんの、また久保さん以外の周りにおられた方々の、嬉しそうな表情をしっかりと見てきました。そして同時に、それが引き締まった決意の表情に変わったのは、戦争だけは、核兵器だけは、何があっても、何があっても起こしてはいけないということを、戦争を知らない世代の人たちに伝えていかなければいけないという心の底からの思いを話されているときでした。
私たちはその後久保さんに「翻訳作業はこれからもずっと続けていきます」「久保さんもまだまだ長生きしてください」など、一人ひとりが激励のメッセージを送らせていただきました。
私たちは確かに戦争を体験したことはありません。だから、幸いにも、本当の意味で戦争の恐ろしさを実感できない世代です。しかし、世の中の動きは必ずしも反戦、反核の方向を向いてはいません。そういう中での久保さんの言葉には、短くとも大きなものを感じました。 (阿比留 高広=国際教養学科3年)
コメントを書く