ボン大学で証言翻訳授業成果発表会+原爆展

ボン大学で証言翻訳授業成果発表会+原爆展
証言翻訳の成果を発表するボン大学院生

ボン大学で証言翻訳授業成果発表会+原爆展

The presentation on the activities and the Atomic Bomb exhibition
by “Hiroshima-Nagasaki-Projekt” team at the University of Bonn.
ボン大学博物館で始まった原爆展示会
ボン大学博物館で始まった原爆展示会
証言翻訳の成果を発表するボン大学院生
証言翻訳の成果を発表するボン大学院生

ボン大学では2017年1月30日夕、今学期の被爆者証言翻訳授業(ヒロシマ・ナガサキ・プロジェクト)の成果発表会を開催、合わせて原爆展のオープニングセレモニーおよびレセプションを行いました。
場所はボン大学大学博物館。展示物の間にスクリーンを特設してもらい、椅子を運び入れて行いました。学内外から30人前後が参加しました。

成果発表会の部では、今学期NET-GTASより依頼のあったカナダ在住の被爆者「サーロー節子」さんの字幕翻訳の成果を、実際にサーロー節子さんの証言ビデオといっしょに見てもらいました。
引き続き、7人のプロジェクト参加者が、自分の期末レポートのテーマを紹介し、観客の皆さんと原爆のテーマの深さを共有しました。たとえば、サーローさんの証言には「心的麻痺」という言葉が出てきますが、その後「心的外傷後ストレス障害 (PTSD)」と命名される障害が東西の歴史の証言者の言葉にどのように現れるかを調べる学生がいます。また、原爆という新兵器による被害を当時の被爆者がどのように理解しようとしていたかを、ボン大学が翻訳してきた証言5本と当時医者として被爆者と向き合った蜂谷 道彦さんの日記『ヒロシマ日記』(1955)を元に探る学生がいます。
質疑応答では、翻訳する証言は誰が選ぶのかとか、サーローさんの証言ビデオに出てきた絵の出典など証言ビデオや証言翻訳に関わる質問がでました。また、歴史の証言というのはいつ、だれが、どこで、だれのために証言するのかという文脈で異なってくるので、分析の対象とするときには文脈への理解が重要だ、というような貴重なアドバイスもいただきました。
今年から行うことになった原爆展示会(主催:ボン大学大学博物館とボン大学アジア研究科日本・韓国研究専攻)は、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館のご厚意でドレスデンでの原爆展の展示ポスターをボン大学にご寄贈いただいたことにより可能になりました。その展示会のオープニングセレモニーでは、大学博物館館長のベッカー氏とボン大学日本・韓国研究専攻の専攻長であるツェルナー教授の挨拶の後、ドレスデン広島長崎原爆展のプロジェクトマネージャーであるカロリーネ・フェルスター氏(Caroline Förster)によるドレスデンでの展示会の紹介がありました。
フェルスター氏はその中で、ドレスデン展示会のコンセプト、ERINNERUNGSHORIZONT(歴史の地平線)を説明しました。歴史の証人個人個人が「思い出す」ことにより、あの時と今、あの場所とここ等の時空間の地平線が広がる一方、その思い出された記憶は、個人の記憶であり、(主観的なものであるから、)おのずとその(地平線の)限界にぶつかるということを表すのだそうです。
その後ボン大学のプロジェクト生がボン大学での展示会を開催するに当たってどのように寄贈ポスターを選んだのかを解説。国際的反核活動家であるサーロー節子さんの証言を翻訳したプロジェクト生として、核兵器廃絶へのメッセージに重点をおいた展示会となっていることを紹介しました。
セレモニーの後、参加者はシャンパンとオレンジジュースを片手に、なごやかに意見交換をしたり、展示を鑑賞したりしました。

原爆展示会は、3月末まで一般市民にも公開されます。
(田村直子 =ボン大学講師)

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