京都・ウィーン合同企画に参加して

京都・ウィーン合同企画に参加して
ウィーンからのビデオメッセージを見る京都のシンポジウム参加者たち。左端が阿比留高広君

京都・ウィーン合同企画に参加して


8月5日に日本の古都・京都で、6日にオーストリアの首都ウィーンで、「核兵器のない平和な世界」を願う国境を越えた合同企画が、市民を巻き込む形で開かれました。京都では左京区のお寺で、ウィーンでは街中で、被爆者証言ビデオの上映や写真・ポスター展示を通してそれぞれの市民にアピールしました。(詳しくは「『原爆投下73年』にウィーンと京都を結んで」記事)

ウィーンからのビデオメッセージを見る京都のシンポジウム参加者たち。左端が阿比留高広君
ウィーンからのビデオメッセージを見る京都のシンポジウム参加者たち。左端が阿比留高広君

この合同企画を通じて、NET-GTASの目指す活動に大きな二つの希望が生まれました。

一つは、被爆者の声をもとに被ばくの実相を伝える拠点が海外にできていることです。被爆地の広島・長崎から発信されるだけでなく、世界のあらゆる地域でそこに住む人々自身が被ばくの現実を伝える拠点を作っていくことが、世界の非核世論形成において最も効果的です。また今回の企画のように、世界の仲間たちがどんな取り組みをしているのかをお互いに知り、各地でバラバラに行われている活動が繋がっていくことも、それぞれの平和の拠点を活気づけることになります。

もう一つは、若い世代の関わりです。今回の合同企画はウィーン大学生と京都外国語大生がSkypeなどで連絡を取り合って実現させました。ウィーン側で自主的に動いてくれたのは主にウィーン大学の3人の学生でした。彼らのつくるメッセージビデオやポスターの斬新で興味をそそられる発想には驚かされました。核兵器が一朝一夕でなくせるものではない以上、廃絶に向けた取り組みは長い目で、しかし確実に次世代に継承していく必要があります。新たな世代への引き継ぎ方は、バトンタッチする側もされる側も一緒に考え、新しいやり方にもどんどん挑んでいくことが大切だと感じます。

ちなみにウィーン大の学生らは、昨年の授業でNET-GTASの翻訳事業に参加し、1本の証言ビデオをドイツ語に翻訳したのが今回の活動のきっかけです。より良い翻訳をするためには、当時の惨状をできるだけはっきり思い浮かべ、被爆者の想いに寄り添う必要があるため、自然と核兵器廃絶の熱意に結びつきます。私も京都外大の仲間と一緒に翻訳した経験がありますが、翻訳という単純作業が実は深い意義と可能性を持っていることに気づかされます。

地理的な意味での水平的な広がり、世代継承という垂直的な広がりの両面において希望が持てる、そんな今回の企画でした。NET-GTASの翻訳活動に参加する若者は世界各地の都市に散在しています。これからは、2つの都市だけでなくさらに多くの国や地域を巻き込み、同時多発的に地球上のあらゆる場所で合同企画をできたらおもしろいな、という目標ができました。

(阿比留 高広=国際教養学科4年生)

Follow me!

私の思いカテゴリの最新記事

PAGE TOP