盈進中高ヒューマンライツ部との合同出版企画動き出す

盈進中高ヒューマンライツ部との合同出版企画動き出す
被爆者・花垣ルミさんを囲んで

盈進中高ヒューマンライツ部との合同出版企画動き出す

The joint project to publish Hibakusha(the victims of atomic bomb)’s story both in Japanese and English by Human Rights Club of Eishin junior and high school and NET-GTAS has started.

被爆者・花垣ルミさんを囲んで
被爆者・花垣ルミさんを囲んで
司会役の阿比留高広君(京都外大・左)と高橋悠太君(盈進中高・中央)
司会役の阿比留高広君(京都外大・左)と高橋悠太君(盈進中高・中央)
英語のネイティブの先生も参加した検討会
英語のネイティブの先生も参加した検討会

広島県福山市の私立盈進(えいしん)中学高等学校ヒューマンライツ部の生徒たちが広島の被爆者の半生を取材し作成した物語を、NET-GTASと合同で英訳出版する企画が動き出しました。昨年6月に京都外大のオープンキャンパス見学に来た同校生徒らがNET-GTASのサポーター学生らと交流をした際に、ヒューマンライツ部員らが「物語の英訳本の合同出版をしたい」と申し入れをしたのがきっかけ。12月末に高校1年生の馬屋原瑠美(うまやはら・るみ)さんらが英訳した文章を京都に持ち込み、外大の学生や英米語学科のネイティブの先生らと2日間にわたり検討会を開きました。

合同出版が企画されているのは、広島県原爆被害者団体協議会(広島県被団協)理事長の坪井直(つぼい・すなお)さん(93)の物語。ヒューマンライツ部のメンバーが5時間以上のインタビューをし、2017年に「にんげん坪井直 魂の叫び」(A4判30ページ)としてまとめ、広島平和記念資料館に寄贈しました。

その後、部員たちは物語を英訳し日英両文で出版したいと考え、昨年夏から馬屋原さんらが翻訳に取り組みました。英語ネイティブの監修を受けたいというわけで、NET-GTASに協力を依頼、合同作業が始まったわけです。

英訳検討会は2018年12月21日午後と22日朝の計7時間、4号館や2号館の教室で開催。盈進側からはヒューマンライツ部の生徒7人と、同部顧問の延和聰(のぶ・かずとし)教頭先生、京都側からはNET-GTASの学生サポーターや幹事、国際貢献学部のアーロン・キャンベル先生ら、それに横浜から飛び入り参加の平和活動家・佐藤誠樹さんら約10人が参加し、馬屋原さんらの英訳文について一章ごとに意見を出し合う形で進められました。

原典の「にんげん坪井直 魂の叫び」は、坪井さんを取材した生徒らが坪井さんの広島弁丸出しの発言をそのままに文字化した「ひとり語り」のスタイル。それだけに、英語表現への切り替えは結構難しく、議論が立ち往生することもしばしばでした。

問題は単語レベルにはとどまりません。坪井さんが戦後、巻き込まれた「被爆者差別」。親しくなった女性が周囲の人々から「被爆者は長生きできない」と交際をやめるよう勧められ2人で苦悩した事実が語られています。これについて「事実はどうだったのか」「もう少し取材を深める必要があるのでは」といった意見が出て、英訳以前の問題として「再取材すべきかどうか」真剣な議論が展開されました。

2日間、司会を務めた京都外大のサポーターの一人、阿比留高広君(国際教養学科4年)は 「本当に濃い二日間だった。単に言語的な齟齬を埋める作業にとどまらず、言葉の本意、あるいは語られていないことにまで神経を集中させる必要があった。本人の語りの中に、想像が行き過ぎない限りでしかし最大限の意思をくみ取ることの難しさは途方もない。さらに伝える側だけでなく、受け取る側への寄り添いも重要なことに気づかされた。翻訳の難しさだけでなく、翻訳という作業自体のもつ可能性について再確認できた。また、 次世代の若者たちの活動に対する魂を感じ、頼もしいと思うと同時に、自分もまだまだ何かできることがあるのではないかと考えさせられた」と話しています。                                                                  (長谷 邦彦=代表)

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